
泣かぬ鼠が身を焦がす
第17章 千里も一里になるはずで
「なら、始めましょうか」
「お願いします!」
ラッピングはヒトミさんの方が得意らしくて、ビニールの上を綺麗に折るやり方やそれを留めた針金の処理も丁寧に教えてくれた
「すげー……!!! お店で買ったみたい」
「うん。いいかしらね」
ヒトミさんが満足そうに鼻を鳴らす
素人が作ったとは思えないほどキャンドルは綺麗に固まってたし、ラッピングもプロのよう
ほんとにすごい……!!
感動して眺めていると、ヒトミさんに紙袋ごと遠ざけられてしまった
「あ、ちょっと」
「アンタはまだこれが残ってるでしょうが」
「うぐ……」
差し出されたのは、バースデーカード
イケメンに絶対買えと言われて買ったそれは、表側はビニールと同じ夜空の柄が入っているポストカードみたいなもの
裏面には「HAPPY BIRTH DAY」の文字
「アタシは店の支度してるから、1人でゆっくり書きなさい」
「うぇ、これは相談に乗ってくれないの?」
「馬鹿ね。拓真さんはアンタからの言葉を喜ぶのよ。アタシたちが考えたって意味がないでしょう。自分の素直な気持ちをちゃんと書きなさい」
素直な、気持ち……
