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泣かぬ鼠が身を焦がす

第18章 遠くなれば薄くなる?


拓真さんは紙袋の隙間からチラッと中身を見た

そして


「あぁ」


とだけ言って俺の手からプレゼントを受け取る


え、それだけ……?
喜んでくれてない?

照れ隠し……なわけ、ないよな

なんで


ドクン、と心臓が波を打つ


痛い

痛い

やば、どうしよう
どうしたらいいんだろ


あまりに薄い反応に俺の内心の焦りが加速する


お礼すら言ってもらえないなんて


渡せば喜んでもらえるなんて甘い考えだったのかな


拓真さんは俺の紙袋を受け取ってからスタスタと歩いて行ってしまった

そして、さっきたくさん抱えていて部屋の片隅に置かれていたプレゼントの山に俺のプレゼントも投げ入れた


「!?」


その光景を見て、俺の何かがプツンと切れる

ヒトミさんとイケメンが手伝ってくれたこととか、俺の頑張りまで全部投げ捨てられた気持ちになった


「なんでそんな風に扱うんだよ!!!」


叫んだ俺に、拓真さんは動じてもないような冷たい目を向ける


「なんだ?」


ため息混じりのその言い方に俺の怒りは増す


「せっかく拓真さんのために……!!!」


言ってる間に目から涙が流れた

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