
泣かぬ鼠が身を焦がす
第22章 一に看病、二も看病
ゆっくりと拓真さんの腕が俺の背中に回される
ぐ、と引き寄せるように抱き直されると俺の心臓がきゅんと締まった
あったかい
風邪引いて、体温もまだ高いはずなのにあったかいって感じられるのってすごいよね
拓真さんの体温が高いって言いたいんじゃなくて、拓真さんの体温を感じるだけで安心するってこと
本人には言わないけど
風邪引いてたあの時の拓真さんももしかしたらそうだったのかもな
あんなこと言うなんて考えられないもんね
だからってわけじゃないけど
俺も拓真さんと同じように
風邪を言い訳に少しぐらい
ちゃんと思ってることを
「ねー……」
俺が胸に顔を埋めたままで拓真さんに話しかけると、俺の頭の上に手が乗った
そして優しく撫でられながら
「なんだ?」
と返事が返ってくる
「昼、さ」
「あぁ」
「拓真さんの服掴んだじゃん」
「そうだな」
あれは何か言いたかったのか、なんて俺の言葉を急かすようなことを拓真さんは言わない
俺の話をただ聞くだけ
その空気感も
頭撫でられるのも
きもちいい
「あれさ、本当はこうやって……傍に……いて……ほしかったから、なんだ……よね……」
