
泣かぬ鼠が身を焦がす
第22章 一に看病、二も看病
「俺もだ」って言われながら強く抱き締め返された
熱上がったんじゃないの、と勘違いする程度には恥ずかしさで身体中ぽかぽかしてる
いや、いいんだよ……!!!
風邪引いてるから!
俺今自分で何言ってるか理解してないから!!!
チラ、と拓真さんの様子を伺うと、あんまり気にしてなさげ
というか、ちょっと嬉しそうな顔してるように見える
それならいっか
「……ふぁ」
あー……急にすげー眠気が
昼結構寝たし、夜は暫く寝れないかなーなんて思ってたんだけどなー
全然寝れそう
なんてこと考えてたら、それを察知したらしい拓真さんが俺の首筋を摩りながら
「眠いか?」
と聞いてきた
「うん……眠い……」
「それならそのまま寝ろ。風邪引いてるときは寝るのが1番だからな」
「ん……」
少し腕の力を緩めて、寝やすい体勢を探す
しっくり来たところで大きく深呼吸をした
拓真さんの匂い
落ち着く
俺の意識が遠のいていく中、拓真さんはずっと俺の頭を撫でていてくれた
「おやすみ」と言う低い声の呟きには心の中で返事をして、良い夢が見れそうだなとか思いながら俺は意識を手放した
