
泣かぬ鼠が身を焦がす
第23章 毒がある
結構痛いし
手汚れてるからデコ擦れないんだぞ
「……」
無言でティッシュを取って手を拭く
なんか、時間が経てば経つほどヤんなきゃ良かったって気持ちになってくる
賢者タイムってやつ……?
悲しくなってきた
俺はそのまま無言で身体を起こした
「純?」
「…………風呂入ってくる。俺昨日入ってないし」
俺はそう言うと、さっさと立ち上がって洗面所に向かって歩き出す
すると拓真さんが後ろから付いてきて俺の腕を引いて止めてきた
「……何?」
「……」
「わっ……なに」
俺が振り返って、拓真さんが俺の顔を見た瞬間
拓真さんは俺を抱き締めた
それどころか、両脇の下に手を入れられて持ち上げられる
「なにすんだ……ょ……」
そして拓真さんは俺の胸あたりに顔を埋める感じで俺を抱き直した
そのまま洗面所に向かって歩き出す拓真さん
洗面所に到着すると拓真さんは俺を抱き締めたままで
「悪かった。言い方がキツかったな」
と謝罪の言葉を口にした
「……んー……」
「……気持ち良かったよ。純の言う通り、すっきりした」
そう言った後拓真さんは俺を下ろして、さっき頭突きしたところにキスをしてくれた
