
泣かぬ鼠が身を焦がす
第24章 鬼も仏も
あからさまに反応した俺に、拓真さんが呆れた様子のため息を吐いた
今の会話の中だけで3回目……
俺ってやっぱりわかりやすすぎるのかも
表情筋鍛えなきゃ、と的外れなことを少し考えていると、拓真さんは俺の向かいの席に座りながら
「知ってたよ」
と言った
……知ってた?
知ってた
知っ……
「えっ!?」
一拍遅れた俺の驚く声を何ともない顔で聞いていた拓真さんは、シャツの袖のボタンを外して袖を捲った
「茜が俺に好意を抱いていたことくらい、気がついていた」
「そう……なんだ……」
拓真さんと茜さんが直接話してるところはほとんど……つーか全く?見たことなかったからわかんないけど、わかるもんなんだろうか
「だから、告白されても特に驚いたりしない」
そう言うといただきます、と手を合わせてご飯を食べ始める拓真さん
俺も慌ててそれに続いて食べ始める
そうなんだ
気が付いてたんだ
…………でも
でもさ
俺が気になっててのはそこじゃなくね?
チラ、と拓真さんの方を見ると、この話は終わりと言いたげな雰囲気
だけど、気になった事をそのままにするのは気持ち悪い
