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泣かぬ鼠が身を焦がす

第25章 合縁奇縁


2人は軽く言い合いをしながら、部屋からも出て行った

俺は心の底からほっとして、大きなため息を吐く


良かった
隠れてて


もし隠れていなかったら、と考えると背筋がゾッとする


いや、あんだけ部屋中うろうろされたら隠れてても見つかってたかもな

探す順番的にここが最後だったから見つからなかっただけ


運が良かった……


でも、もうちょっと気抜かずにしないとな

あれだけ伊藤さんに釘刺されたとはいえ、もう1回来ないとは限らないし


俺はさっきよりもバリケードを多く増やして、自分を見えないようにした



それから数時間
特に誰も部屋に来ることはなく

その代わりに携帯が震えた


「!」


開いてみると、メールは拓真さんから


『総理は帰られた。入った人数と出た人数が同じなのも確認したし、もう出ていいぞ』


帰った、んだ
よかった


『了解! お疲れ様!』
『純もお疲れ。すぐに昼飯を届けさせる』


あ、そうじゃんお昼ご飯
うわぁぁ意識すると腹減ったぁぁ

つーか朝届けるって言ってたけど、誰もいない部屋にお昼ご飯あったら問題だから結局このタイミングしかないよな


ほっとしたからか、こんな普通のやり取りも嬉しい

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