
泣かぬ鼠が身を焦がす
第4章 隠した爪に刺される
「もう質問ない?俺寝るよー」
「あぁ。おやすみ」
「……」
「? 何だ?」
おやすみだって
初めて言われたかも、俺
「ううん、おやすみ」
リモコンで電気が落とされて、部屋は真っ暗になって月明かりだけで部屋が照らされる
「…………」
いやあのさぁ
昨日は寝てたから何に抱きついてるとかわかんなかったけど、今になってみると
「………………」
全然抱きつける雰囲気じゃねーじゃん
仰向けになってすやすや眠る杉田さんを横で見ながらヤキモキする
そしたら
「なんだ?……あぁ、悪い。これじゃ抱き枕にならないか」
「え、わ……ぁう……」
突然目を開けた杉田さんが俺の手を引っ張って腕の中に閉じ込めた
えっ
うわわわわっ……!!!
「抱き枕なんだろう?腕を回せ」
「うぇ、ぇと……うん……」
目の前には杉田さんの胸
「……ワイシャツだと、俺が寝心地悪い。硬い……」
「すまない。今日は我慢してくれ。なんなら脱ぐが?」
「…………いい」
「そうか」
寝心地悪い、なんて
本当は考えてない
いや、考えられない
鼓動がうるさすぎて
俺今日寝れんのかな
