
泣かぬ鼠が身を焦がす
第27章 苦あれば
ふーーーー、と長い息を吐きながら漸く安定した体勢で座れるようになると、お手伝いさんも安堵したように息を吐く
そして何かを思い出したような顔をして、嬉しそうに報告してくれた
「そういえば、本日から1週間大臣は視察のためお帰りにならないそうですよ!」
「!!」
視察で1週間!!
ゆっくりお休みになれますね、と俺に笑いかけたお手伝いさんに俺はハイタッチかましたいぐらいの気持ちになった
この時をずっと待ってたんだ
やった……!!!!
すると、俺が喜んでいることが伝わったのかお手伝いさんは更に嬉しそうに
「ご婦人がその間はこちらにいらっしゃるそうですよ! 親子水入らずでお過ごしになれますね」
と言った
「!!」
母さんは逆にこっちにいるのか
見張り用?
くそ
2人ともいなければ最高だったのに
「純様?」
「え、あ……ごめん。教えてくれてありがとう」
「はい! ……本当にゆっくり、お休みになって下さいね」
「うん」
俺の笑顔と返事で、俺が多少でも元気を取り戻したと思ってくれたのかお手伝いさんは「では、戻ります」と嬉しそうに部屋を出て行った
ごめんね
俺は休んでる暇はないんだ
