
泣かぬ鼠が身を焦がす
第27章 苦あれば
1週間しかないなら、すぐにでもここを出なくちゃいけない
それだけの長い間絶対にあの人がここへ戻ってこられないなら、俺はまた身を隠す事ができる
「……っ」
目頭が熱くなるのを感じた
やっと
やっとだ
この苦しみが報われる
あと一息で
全部
頬を伝う涙が熱い
俺ちゃんと、諦めないでやれたんだ
俺は意味なんてなくてもいいから、とスタミナをつけるためにも出された昼食を久しぶりに残さず食べた
そしてその日の夜
日にちを置いても仕方がないし、お手伝いさんたちの動きはいつもと変わらないから今日のうちに行ってしまおうと俺は軽く荷物を纏めた
とは言ってもカバンとかに入れて持ち運べないから、ポケットに入るものだけ
拓真さんから貰った携帯が取られたままなのが不本意だけど、仕方ない
結局持てたのは部屋にへそくりで貯めてた少しの金ぐらい
意外といらないもんばっかりなんだな
俺の部屋って
生活するにはベッドとかって必要だけど
部屋の前の人気を確認しようと扉に近づく
「!」
すると、身体中の痣がズキンと痛んだ
これぐらいならまだ走れるよな
……大丈夫、きっと
