
泣かぬ鼠が身を焦がす
第27章 苦あれば
意味のわからない俺はまた一緒に黙る
そして
「……純を着替えさせる時に、お前の身体を見た」
次に口を開いた時、言われたのはこんなこと
「!」
さっきから拓真さんが何の目的でこんなこと言ってるのかわかんない
俺のこと責めてるのかな
「…………ごめんなさーー」
「違う」
けど、俺が謝ろうとすると拓真さんはそれを遮って否定した
え
違うって
俺が動揺していると、ベッドの横に立っていた拓真さんが突然膝を折ってその場にへたり込んでしまった
「拓真さん!? どうしたの……」
へたり込んだ拓真さんは俯いてしまって顔が見えない
「……純、ごめん……」
「え……」
そして、その拓真さんの口から出たのは謝罪の言葉だった
なんでごめんって
俺に謝ったの
動揺する俺の目に拓真さんの手が映る
震えてる……?
なんで
「ごめん……純、ごめん……」
俺はまだ痛む身体をおしてベッドから這い出る
拓真さんのとこ、行きたい
痛、て……
「拓真さん?」
どうにか辿り着いて添えた手はやっぱり震えている
明らかにおかしい様子に俺は謝罪の裏の意味を考えてしまった
