
泣かぬ鼠が身を焦がす
第27章 苦あれば
俺のこと、やっぱりいらなかったのかな
でも俺の考えは完全に外れた
次の瞬間には俺は震える拓真さんの腕の中にいたから
「!!」
突然感じるようになった拓真さんの体温に、俺の心臓が跳ねる
こんな時もこんな風になるなんて
俺どんだけ拓真さんのこと好きなの
「!」
そして気がついた
肩が、あったかい……
濡れてる?
!
もしかして拓真さん、泣いてる……?
俺は堪らず拓真さんの背中に手を回す
すると拓真さんが俺の耳に顔を擦り寄せてきて、耳元で囁いた
「俺のせいだ……っ、俺のせいで、お前を傷つけた……ごめん……ごめん……ごめん……!!」
その声は罪に震えていて
俺の胸が強く締め付けられた
「違うよ……拓真さんのせいじゃないよ……」
「ごめん、純……」
俺が否定しようとしても、拓真さんは俺に謝ることをやめない
そんなに罪悪感を感じてくれてるなんて
確かに家に戻ったせいであんな目にあったのかもしれない
でもあの時拓真さんが俺を母さんに渡さなくても、きっと他の手を使って俺を家に連れ戻そうとしたと思う
それに俺は
今拓真さんの側にいられるから、それだけでいい
