
泣かぬ鼠が身を焦がす
第28章 画竜点睛
ずし、とした拓真さんの頭の重みを肩で感じる
拓真さんはそのまま長いため息をついた
疲れてんのかな
って、それもそうか
「……」
俺は肩口にある拓真さんの頭を撫でた
仕事もあって
それなのに俺のこともあって
しかも帰って来た俺は1人じゃ何やるにも難しいほど弱ってて
少しでも癒しになれば、と思いながら俺は拓真さんの頭を優しく撫で続ける
拓真さんも大人しくされるがままで、俺たち2人は会話もなく静かな部屋でくっついていた
「…………純」
沈黙を破ったのは拓真さん
別に気まずい雰囲気ではなかったし、なんならこのまま寝る感じかもとか思ってたぐらいだから正直話しかけられたのには驚いた
「なに?」
でも、俺に話しかけたと思った拓真さんは俺の名前を呼んだきり
「……」
また沈黙してしまった
え、なに?
なんか用だったんじゃないの
「拓真さん?」
「……」
今度は俺から声を掛けてみたんだけど、何故か返答なし
シカト?
マジでなんなの
俺は困惑して、拓真さんを撫でていた手を止めた
すると拓真さんが俺を抱き締めていた腕に少しだけ力が入る
