
泣かぬ鼠が身を焦がす
第28章 画竜点睛
「?」
「……」
なんで今力入れたの
しかもなんだその抗議するような雰囲気は
手を止めるな、とでも言いたげな拓真さんの雰囲気に、俺はまた拓真さんの頭に手を伸ばす
髪の毛をかき混ぜるように頭を撫でると、力の入っていた拓真さんの腕から力が抜けた
「……」
「……」
ここまでほぼ一切会話のない沈黙の攻防
俺はまたなんなの、と思ったけどこういう意味不明な行動する拓真さんもそれはそれで可愛いかもとか思えるんだから俺も相当やばい
けど仕方ないじゃん
後ろからこんな縋るみたいに抱きつかれて
頭を撫でる手を止めると非難されて
どっかの動物みたい
こんなの可愛い以外の感想が出てくる人がいるなら見てみたいよ
「……」
「……」
だけどそれも長く続くと俺に別の感情が芽生えて来た
俺も拓真さんに抱きつきたいし、普通に正面から抱き締めて欲しい
でも拓真さん結構これで満足してる感あるんだよな
俺は不満なんだけど
それを、何て切り出すか……
つーか俺そんなこと拓真さんに言うの……無理じゃないか……?
いやでもなぁ
今この体勢で身体を回転させれば普通に正面から向き合えるんだけど、生憎俺の全身が痛いせいで無理
