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泣かぬ鼠が身を焦がす

第30章 歩く足には


俺はソファでゴロゴロしながらテレビを見て時間を潰す


いやむしろ、実家にいた時も引きこもってたな
つーことは俺どこにいても引き篭もりなんだ

やばいなー


しかし自分の考えとは裏腹に俺の身体は怠けることに馴染みすぎていて、何か運動をしようとかそういう気は全く起きない


運動するのはまた今度でいいやー

……これダイエット成功しない人のアレだな


と思ってふと視線を下にやって俺は驚愕した


「!?」


あ、あれ……?

俺ってこんなにお腹出てたっけ……


自分のお腹に触れてみると、皮の下についた脂肪が伺える


「! な、なにこれ……」


ち、ちょっとふよふよしすぎ、かも……しれない……?


慌てて起き上がってお風呂場に向かう

脱衣所にある大きな鏡を前に服を脱いでみると、そこでまた驚いた


「え、やば……なんか、凹凸のない寸胴体型、に……えぇ……」


触って見て、鏡の中の人間がしっかり動くことから確実にアレは俺で

つまり


「え、と……すげー……太った……?」


太る、という単語と幸運なことに縁のない人生を送ってきた俺にとっては、あまりに衝撃的な出来事だった

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