
泣かぬ鼠が身を焦がす
第5章 猫の前の
そう思ったけれど、俺が聞くより早く杉田さんは俺をベッドに押し倒した
「……え?」
「何を固まっている?」
「いや、何って、この状況に?」
だって、意味わかんない
ご飯食べないの?
「朝は時間がなくて出来なかったからな」
「は?え?」
朝?
「俺なんかしたっけ?」
「勉強はできるのにアホなのか?」
「そういう馬鹿に仕方は癖なの?わざとなの?」
杉田さんの言動にイラッとしつつも、自分の状況を考える
朝……朝……
キスはされた、けど
あ?『今はこれで我慢してくれ』ってやつ?
「え、うっそ。杉田さんシてくれんの?」
まじかまじか
それは良かった
伊藤さんが抱いてくれることもなくなっちゃってたし
やった、と喜んでいたら杉田さんが軽く溜息をついた
え、なんで溜息?
「約束だからな、仕方ないだろう」
「……」
なんか
その言い方
むかつく
な
「……いい」
「え?」
「俺、抱いてもらわなくていい」
俺が突然拒絶したからか、杉田さんが驚いた顔をする
「急に何を言い出すんだ。お前が望んでいたんだろ」
「……今日は、ちょっと気分じゃない」
