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泣かぬ鼠が身を焦がす

第36章 一生添うとは


でも、そんな俺の心の内も知らない拓真さんは「早く」と急かしてくる

わかってる

今日二度目だけどこうなった拓真さんは俺の拒絶なんて聞いちゃくれない

つまりは俺に選択肢はない


これって、俺が甘やかしてるってことになんのかな……


「じ、じゃあ……目、閉じて」


俺がそう言うと拓真さんの目蓋が伏せられて、下を向いた睫毛の長さが目に入る


寝顔ぐらい何回も見たことあんのに、なんでこういう時は緊張すんだよ……っ


「……っ」


ぐ、う……男を見せろ!!!
頑張れ俺!!!


と自分を鼓舞してみるけど、なかなかあと一歩が出ず


「……」
「……」


キスできないまま時間だけが経っていく

すると、それに焦れたらしい拓真さんが突然目を開いて


「わぁ……!?」


俺と拓真さんの位置を転がりながら反転した

つまり、俺が上で拓真さんが下

俺は拓真さんの胸に手をつく形で乗っかってる感じ


「なら、ここにして」


そして拓真さんはそう言いながら自分の頬を指差す


唇と比べたらほっぺぐらい
余裕、だけど


「……ん」


俺が大人しく拓真さんの頬にちゅ、とキスを落とすと


「次はここ」


今度は額を指差される

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