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泣かぬ鼠が身を焦がす

第6章 病に薬なし


でも、寒いと言われれば暴れるわけにもいかなくなって、降参とばかりに俺は大人しくなった


うぅぅ
いつもよりあったかい


それに
なんか今日はいつもより心臓が煩い


なんだろ
なんて言うか

杉田さんの吐息とか
熱とか
汗とか
匂いとか

色んなものに追い詰められて息ができない感じ


「……」
「……」


それと、今ある沈黙がさっきまでと違って全く辛くないのがなんか不思議


仲直りしたからかな
いや別に喧嘩してたわけじゃねーんだけど!

でも、今日の杉田さんの態度見てたらなんか
なんていうか
むずむずする?

あんなに謝られたことなかったし
俺が元気ないのが堪える、なんて言われたことなかった



体調がどうであれ、機嫌がどうであれ
俺の仕事はセックスをすることで

それがなきゃ生きてこれなかったし
今後もそうやって生きてくんだって思ってた


なのに杉田さんとは全くシてなくて
逆にまともにしたこともない看病なんかして


どこか、変だ


って、あ
そういえば俺、杉田さんに謝らなきゃいけなかったんだっけ
言葉遣いとか、昨日の態度とか


「……ねー、杉田さん起きてる?」
「……」


寝ちゃったか

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