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泣かぬ鼠が身を焦がす

第6章 病に薬なし


杉田さんの頭の下にお医者さんが薬と一緒に置いていってくれた氷枕を入れる

「ありがとう」と言って目を閉じたのを確認したら、俺はベッドから離れた


過労って言ってたし
ちゃんと汗かいて寝てりゃ治るよな

俺はうつらないように離れてよ


ご飯を食べてたテーブルまで下がって、ちょこんと座る


「……」
「……」


今日は宿題もないし、やることないな


そう思ってぼーっとベッドの方を眺めてると、杉田さんがもぞもぞ動いて俺の名前を呼んだ


「ノラ?」
「ん?……呼んだ?」


声小さいのは熱が辛いからかな
それとも眠いだけ?


顔が見える位置まで俺が近づくと、俺の顔を見た杉田さんが手招きをする


「なに?やっぱ寒い?」
「いや、そうではなくて……」
「え?わ、なに……!?」


なになに!?
なんで、布団に引き入れてんの……!?


俺の手首を掴んだ杉田さんは俺を布団の中に入れた


「なに!?」
「…………風邪ひくと、人肌恋しくなるだろう」
「なにそれ。なんねーよ!」


熱出てんのに人が恋しくなんの?
何の病気なわけそれ!


「暴れるな。空気が入って寒い」
「いやそんなこと言われても……」


俺が居づらいんだよ!

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