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泣かぬ鼠が身を焦がす

第7章 馴染めば思う


だから美味しく食べたい
のにな


「……いただきます」
「……」
「……」


小さな食器の音を響かせながら、2人で食事を始める


やっぱり味わかんない
もったいないな


そう思っていたら


「ノラ」


突然名前を呼ばれた


「! 何?」


自然と俯いていた顔を上げると、俺の方を見る杉田さんの表情はさっきの何考えてんのかわかんない顔ではなくなっている


「ありがとう」
「へ?」


なぜ今感謝?


「な、なに? なんで?」
「辛いことを話させて悪かったと思ったんだが、俺はノラに謝ってばかりだと思ったから謝るのはやめて感謝しようと思ってな」


ん? んん?
なんて?

俺に謝ってばっかりなのが悪いと思ったの?

まぁ確かに謝られてばっかりなのは気持ち悪いけどさぁ


「話してくれてありがとう。これからは気をつける」
「……ん、うん……」


なんだ、これ
ちょっと緊張みたいな
変な感じする


「さっきキツイ言い方をしてしまったのは、警備員が夜中でも見回りをしているからだ」
「見回り?」
「あぁ。それに見つかったら、部屋に監禁しているなんて言い訳出来るわけがないだろう?」


確かに

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