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泣かぬ鼠が身を焦がす

第7章 馴染めば思う


杉田さんなんか全然関係ないどころかとばっちり受けてるような状況で

ほんとなんか
申し訳ない


「後遺症なんて全く残ってないし、ほんと全然大丈夫なんだ」


大丈夫

大丈夫だからさ
そんな顔すんなよ


「……」
「……」


なにも言わない杉田さんに、俺も言葉が紡げなくなる


どー、しよ


暫く沈黙が続く

沈黙を破ったのは、気まずさに耐えきれなくなった俺だった


「そ、そーいえばご飯!作ってくれたんだよな?食べよ」
「……」


返事ナシ

やっぱ引いた?
もーマジでさ、杉田さんのその顔何考えてんのかわかんね


俺が動くと、さっきまで俺を優しく抱きしめて摩ってくれていた手がするりと身体から解ける


ちょっとだけ寂しい
いや悲しい?

複雑


その思いも振り切るように俺はテーブルまで小走りして


「ほら杉田さん!せっかく作ってくれたのに冷めちゃうよ」


おいでおいで、と手招きするとゆっくりと動き出す杉田さん


美味しそう
何でも出来るんだなー


と思うけど
空気の重さで、美味しさがわからないだろうことは明白

さっき口をついて出た『せっかく作ってくれたのに』は本心
こんなこと今までしてもらった事もないし

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