短編集
第2章 ヤクザ × 学生
「若、ついに真田組が動きました。」
「そうか.....近いうちにやりあうかもな。」
ベッドに寝っ転がっているとふと聞こえてきたそんな話。
近いうちに.....
「ヒロ、ちょっと出かけてくるな。」
「うん、行ってらっしゃい。」
「あぁ、なるべく早く戻る。」
「ん。約束ね。」
何度もこの背中を見送った。
拾われた時はまだ小さくて、後ろを歩いて回ることしか出来なかったけど。
「早く帰ってきてね、龍牙さん。」
聞こえないようにボソッと呟いて僕はまた家の中へと戻った。
それから二週間。
龍牙さんは一度も帰ってこなかった。