
ちよこれいと
第1章 ちよこれいと
「僕にはチョコ、くれないの?」
なんて……
ズルい先輩
私は友達に頼まれて、久富先輩に会わせに来たの。初めから端で見ていたあなたは知ってるでしょう?
それなのに腕を掴んで、引き留めて。
目じりを下げた、甘い笑顔で私の顔を覗き込む。
「オルカちゃんのチョコ、欲しいな」
先輩の肩越し、友達が真っ赤な顔でチョコを渡してるのが目に入る。久富先輩の顔も何だか赤い。
あ、受け取った。
……ちょっと、良い雰囲気?
「オールカ。こっち向いて」
先輩が私の頬を両手で挟んだ。
強引に至近距離から合わせられる視線。
……先輩の睫毛、長いなぁ。
この前テレビで見たキリンみたい。
お肌だってすっべすべ。男の人なのにね。にきびの一つもないなんて、羨ましい。
「オルカちゃん、僕のこと嫌い?」
そんなこと、こんな体勢で聞かないで。
「嫌い、じゃありません」
私、好きでもない人にこんなこと許しませんから。
先輩は、楽しそうですけど……
別に私のこと好きじゃありませんよね。
「誰かに渡す予定あり?」
「……ありません」
だって先輩に渡しても、たくさんある中の一つにしかならないもの。
私のがどれかなんて、きっと先輩には関係ない。
明日には忘れられて、しまうもの……
なんて……
ズルい先輩
私は友達に頼まれて、久富先輩に会わせに来たの。初めから端で見ていたあなたは知ってるでしょう?
それなのに腕を掴んで、引き留めて。
目じりを下げた、甘い笑顔で私の顔を覗き込む。
「オルカちゃんのチョコ、欲しいな」
先輩の肩越し、友達が真っ赤な顔でチョコを渡してるのが目に入る。久富先輩の顔も何だか赤い。
あ、受け取った。
……ちょっと、良い雰囲気?
「オールカ。こっち向いて」
先輩が私の頬を両手で挟んだ。
強引に至近距離から合わせられる視線。
……先輩の睫毛、長いなぁ。
この前テレビで見たキリンみたい。
お肌だってすっべすべ。男の人なのにね。にきびの一つもないなんて、羨ましい。
「オルカちゃん、僕のこと嫌い?」
そんなこと、こんな体勢で聞かないで。
「嫌い、じゃありません」
私、好きでもない人にこんなこと許しませんから。
先輩は、楽しそうですけど……
別に私のこと好きじゃありませんよね。
「誰かに渡す予定あり?」
「……ありません」
だって先輩に渡しても、たくさんある中の一つにしかならないもの。
私のがどれかなんて、きっと先輩には関係ない。
明日には忘れられて、しまうもの……
