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ちよこれいと

第2章 おまけ

沈黙に耐えられずに名前を呼んだ。
静かに一つ瞬きをして、織歌がゆっくりと俺を見る。
ようやく合わさった視線。
ホッとしたと思ったのに

「それって、浮気されません?」

う……

明らかに疑いを含んだその瞳にザックリ刺されて肩が落ちた。

まぁね、今まで俺がしてきた事をみればそう思うよね。自業自得。
分かってる。分かってるけ、ど、さ……

「あのね、確かに色々してきたよ。してきたけれど、二股掛けたことないし、織歌と一緒にいて他もなんてあり得ないから」

俺は二股はしない。
どんなに遊んでても、それは最低限の礼儀でしょ?
それに……もう織歌以外の女の子には興味がない。

信じてもらいたくて、真っ直ぐに織歌を見詰める。
じっと俺を見返していた織歌の目がふうっと凪いだ。

あ……

「考えておきます」

急に距離を置こうとする織歌。それは一見チョコを強請る前の態度と同じで。

「あ、戻った。……残念」

思わず小さく呟いてしまった。

けど……

織歌は真っ直ぐ俺を見てる。前の様に目を逸らされる事はない。些細だけれど大きな変化。
嬉しくて、つい顔が綻んでしまう。

「前向きな方向でお願いします」

ピクッと頬を震わせて、でも無反応を装おうとしたりするから……
取り澄ました織歌をまた乱したくなる。
必要以上に顔を寄せ、身構えた彼女の額にわざとチュッと音を立ててキスをする。
思惑通り一気に上気した赤い頬。

「織歌かーわいーい」

素っ気ないのは恥ずかしさの裏返し?
純な反応が可愛くて堪んない。
我慢できずに抱き付いた。

「いつかメロメロにさせてみせるから」



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