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マーメイドな時間

第18章 寿司屋に2

「そうなんです。若い職人の教材用に、いろんな魚介類の裁き方をビデオに修めてるんでさぁ」


 いや、ダメだろっ!!


 リアルスプラッタームービーだよっ!!


 一歩違えば、スナッフフィルムじゃねえか!!


 スッポン捌くのと訳が違うんだぞっ!!


『ゴッ、ゴッ……ダンッ!! ダンッ!!』



 中華の肉切り包丁のような音がするぞ……。



 寿司屋だよね?


 フワッと十円玉に近い匂いが、漂ってきたぞ。


「直接、裁きながら血抜きしましてね、一番うまいのが、腰の肌とウロコの境目部分で……」


 やめろ。前回は捌く工程を知らなかったから、なんとか食べれたけど、あれ、確実に殺害される寸前の女性の叫びだろ。


 聞いてしまったら、なかなか食べれないよ。


「人魚は、今が旬なんですよ。産卵時期の手前が脂のってて美味いんすよ」


 親方の顔がハンニバルに見えてきた。


 これ、警察来たらどうなるよ?


 だって、腰から上が人だもんよ。


「アラを使った赤だしと、頭を使った兜焼きが出来ますけど」


 その赤だしの赤いのは、ちゃんとした味噌なんだろうな。



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