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マーメイドな時間

第3章 タレント養成所に……

 俺は自分が身に付けてきた、芸の考え方やネタの生み出し方を伝授した。


 笑いとは無限の物だ。


 次から次からどんどん、新しい笑いが生まれてくる。コント、漫才、落語、漫談、声帯形態模写、ダンスや歌にも笑いはある。


 さて、彼らにも話を聞いてみるか。さて、誰に……。


 ……


 やはり、アレに目がいってしまう。


 どうやら、俺は彼女の虜になってしまったようだ。


 まだ、彼女の口からは、ふざけたべっしゃりしか聞いていない。


 あの姿で、どんなネタを持っているのか、非常に興味ある。


「そうそう、さっきのキミ、名前はなんて言うんだ?」


 再び指摘してやったら、全員が大拍手だ。


 講師から注目されること、ひとつのチャンスでもあるだろう。


「あ、私、名前は人と魚です」


「ひととさかな? 変わった芸名だね。ネタ持ってるの? よかったら、見せて」


「えっ、やっていいんですか?」


「やっていいよ」


 なんだ、普通にもの言えるじゃないか。


 大先輩が目の前にいるんだ。この世界は上下関係は大事。たとえ、先輩より売れて、収入が10倍以上の差があったとしても、先輩は先輩として敬うものだ。


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