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マーメイドな時間

第3章 タレント養成所に……

 上半身裸で、胸はサザエのフタで隠されているのみ。下は、魚のようなパンツを履いた、毛が腰まである女。




 ……えっ?


 俺は目をこすった。


 あれは……衣装か?


 あんな姿で、笑いなんて出来るのか?


 まあ、ここに来るやつらは、今のうちから、それなりに笑いをとろうとしているからな。


 まあ、少々、目のやり場にこまるが、意気込みはしっかりと受け取った。


 あれは、注目を引くぞ。間違いなく、今、俺が注目しているのだから。プロであるディーラー枩夲が……。


「なんか、凄い大胆な娘がいるな」と彼女に指を差した。


 すると「おおぉーっ」と歓声が上がり、彼女に注目が集まった。


「君は、コンビか?」


「ちゃいやっすぅ!! ピンです! ピンピンピン!! ピンが3つやったらトリオやんかっ!!」


 この辺りは、まだ素人だな。


 つまらなくとも、思いきってやることは大事だ。


 繰り返して自分のものにすれば、それは、己の持ちネタになり、それがウケるようになる。


「なるほど、その流れの口調を、いま大事にしとけよ。それが武器になるか、宝の持ち腐れになるかは、使い方次第だからな」


「あらやーっす」


 もう、しなくてよい。




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