けだもの系王子
第1章 祐也 、 草食系?
「え〜?彼氏とずっとエッチなし〜?」
「ありえない、3年も付き合ってるのに?」
「うん、もうそろそろ別れ時なのかなと思って……」
ここは病院の職員食堂。
同僚の看護師どうしで、昼休みにいつものように、彼氏の話で盛り上がる。
「やっぱり長く付き合ってると、そういうのって、やらなくなるものなのかな?」
お茶を飲みながら、平静を装い耳を傾ける。
内心興味津々だ。
「彩はいいじゃない?どうせ彼氏とラブラブなんでしょ?」
あんたには関係ないとばかりに、軽く睨まれる。
ラブラブ、なんだろうけど……。
付き合って1年くらい、最近同棲を始めて、1週間くらい。
あたしは社会人、病院の看護師。
彼氏は少し年下、大学生、大学院生というやつ。
頭が良くて良く分からない研究をしてるらしい。
知り合ったのは、去年。
最初は外来の患者さんで、それから近所で何度か会って、そういう関係になった。
同棲して1週間くらい。
ラブラブなんだろうけど。
実はほとんど、エッチをしていないんです。
たぶん、あたしの彼氏。
いわゆる、草食系というやつなんだと思う。
「エッチしないってことは、もう冷めたとか好きじゃないのかとか思っちゃうよね?」
「だって若いし、最初のうちはほとんど、やりまくりだったくせに、だんだんやらなくなるのって、やっぱり飽きたとか、浮気してるかと、思っちゃうよね?」
飽きた。
浮気。
飽きるほど、エッチをしていないんですけど?
そもそも求められない場合はどうなの?
モヤモヤしたまま、皆の会話を聞き、昼休みの時間が過ぎていった。
あたしが働いている病院から歩いて10分くらい。
あたしが住んでるマンションがある。
今日の晩御飯の買い物を近所で済ませて家に帰る。
「ただいまぁ」
鍵をあけて、家に入るため、靴を脱いでると足音が聞こえ、彼氏の秋月 祐也が姿を現した。
「おかえりなさい、彩ちゃん」