けだもの系王子
第1章 祐也 、 草食系?
優しい笑顔。
甘い視線。
背が高いから、少しかがんで、あたしにキスをしてくれる。
ちゅっ、という軽いキスの音。
どきん、胸が高鳴る。
すぐに唇が離れて、なんとなく見つめ合う。
切れ長の優しい瞳が揺れている。
「ゆうちゃん、大好き」
玄関先に荷物を置いて、両手を伸ばしてゆうちゃんの首に手を回す。
再度キスをねだる。
ゆっくり唇が重なり、優しい舌がからめられる。
「んんっ……!」
大好き、ゆうちゃん。
キスだけで、あたしのあそこは濡れちゃうのに。
本当ならこのまま……。
エッチしたいのに……。
唇がゆっくり離れていく。
「お仕事お疲れ様。お腹空いた?俺が作ろうか?」
キスの余韻にぼぅっとした状態のあたしを残して。
あたしの荷物を持って行ってくれる。
平然とした態度に、少しむっとしてしまう。
「ゆうちゃんは?今日は忙しくないの?」
広い背中を追いかける。
「うん、今一段落。あらかた終わったかな?」
しょっちゅう部屋でパソコンと睨めっこしているのに。
今日はあたしに構ってくれるのかな?
淡い期待に胸が高鳴る。
「じゃあ、一緒に晩御飯作ろうか?」
自分の部屋に行って、お互いエプロンをして、晩御飯の支度をする。
「ゆうちゃん、明日会社の飲み会があるの。帰りは少し遅くなると思う」
「送別会だっけ?誰か異動でよその病院に行くんだっけ?」
「うん、医者見習い?大きな病院に行くんだって」
「俺も明日は研究やらいろいろあって遅くなるからちょうどいいかな?」
「そっかぁ、じゃあ、明日は寂しいな……」
「そのぶん土曜日はゆっくり過ごそう?明日は飲み過ぎないようにね?」
「はぁい」
「男もいるから、心配だな……」
一緒に台所で調理しながら仲良く寄り添う。