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けだもの系王子

第7章 聖矢、腹黒系?








「ふうん、ここかあ?」





洋館みたいな建物を見上げて呟く。





おしゃれな外観で雑誌に載ってた通りだ。





家から1つ駅先の距離だからそんなに遠くないし、いざとなったらタクシーで行けるし。





親の許しを得て通ってる大学の近くのマンションに一人暮らしをしている。




最初は面白くて自炊もしてたけどすぐに飽きた。




飽きたし、めんどくさい。




だから外食三昧の日々。




金持ちの一人娘で蝶よ花よと育てられ、持たされたカードはいくら使ってもいいし。




自由気ままなのも今だけ、いずれ親が選んだ人と結婚させられる運命。




好きに過ごして何が悪い。




意気揚々とその店に足を踏み入れた。









ケーキが美味しくて、フランスで修行した有名なパティシエがいて。





有名な3つ星ホテルで修行したコックさんがいるらしい。





お料理もケーキも美味しいと雑誌に載っていた。






店に入るなりいい臭いがして、あたしのお腹の虫が鳴る。




お料理の香りと甘い香りもする。





「いらっしゃいませ」





店内にいるウェイター、ウェイトレスが一斉に声をあげている。





一人のイケメンのウェイターがあたしに近寄る。





「いらっしゃいませ、お一人でよろしいですか?」





一人ですけど何か?





ここでいつも文句を言いたくなる。





「一人ですけど?」





堂々した態度。





「ご案内します。
こちらへどうぞ」





イケメンが天使のような笑顔を振り撒く。





綺麗な顔。





透き通った肌。





身長は高くてスタイルもいい。





癖毛っぽいふわふわした髪は栗色。





中性的な妙な色気を放つ。





イケメン、あたしの苦手なタイプ。





あたしを案内する為に先を歩いている。





綺麗な後ろ姿。





姿勢がいい。





頭の形もいい。





黙って案内される。





店内を歩くと色んな人があたしを見る。





こんな視線には慣れている。




両親のDNAのお陰で美形に生まれた。





可愛い、綺麗だと言われ続けて育った。


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