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けだもの系王子

第7章 聖矢、腹黒系?







どうしてこういう状況になるのかな?





婚約者とデートして家に送ってもらったのに。





他の男に拉致られて家に連れ込まれている。





必死に抵抗したのに。





荷物のように抱えられて運ばれて。





こういうのって犯罪じゃないの?





あたしの意思はどうでもいいの?





ただやりたいだけなの?





この男、信じらんないっ。





もう20才越えた大人で。





結婚するまではと多少は遊んだから。





もちろん処女ではないけど。





ここまで強引に来られると。





さすがに恐くなって緊張する。





あたしは聖矢のベッドの上に下ろされていた。





あたしの目の前には聖矢が、野生的な瞳を光らせてにじり寄ってくる。




じりじりと後ずさりしてしまっているあたしを見つめてふっと笑う。





「怯えてるね、その目可愛いくってゾクゾクする。
ごめんね麗奈さん。
僕はちょっとおかしいんだ……。
こんなやり方でしか、人を愛する事が出来ない。
こうやって無理矢理にでも奪って自分のモノにしないと安心できない。
そんな事したら嫌われるって分かってるのに。
いつも不安で寂しいんだ……」





何故だか泣きそうな顔に見える。





大きめな瞳がゆらゆら揺れる。





涙が零れてる訳じゃない?





思わずその頬に手を乗せる。





「あたしはあんたの事最初から嫌いだからこれ以上嫌いになりようがないし。
でもあんたのおかげで寂しくなんかないわよ。
美味しいもの食べさせて貰ったからね?」





「面白いね、麗奈さんって。
だからこんなに早く好きになっちゃて、自分でもびっくりしてるんだけど、やっぱりその責任はとってもらわないとね?」





「ちょっと待って、また、変な事言って……!
意味が分からない……っ……!」





聖矢の体がどんどん近寄る。





四つん這いになってあたしの体に近付き体の上に覆い被さる。




その姿はまるで野生の獣のようで彼にとってこの行為は単なる狩りだと分かる。




野生的な鋭い視線に見つめられてその輝きにゾクリとする。




獣の前足に組み敷かれるようにあたしの両手がベッドに縫いとめられる。




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