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けだもの系王子

第11章 零斗、チャラ男系?






「ねぇ、ねぇ、君可愛いね?どこのサークルに入っているの?」



大学の入学式後、キャンパス内で声をかけられる。



「あっ…あたしっ?いや、いいですっ」




まさか、自分が声をかけられるとは思わずに、びくびくしてしまう。



「可愛いね、君名前は?」




「やっ、あの、急いでますんでっ」




逃げるように早く歩く。




『おっ、可愛い子』




『お前、声をかけてみろよ』




『いやいや、ここは、零斗に行ってもらおうっ、なんたって、この大学一番のモテ男だからなっ?』



『モテ男じゃなくて、チャラ男だろっ』




背後で聞こえる会話。



皆に見られている視線。



これはやっぱり。



あたし、大学デビューをしてしまいました……?




高校は田舎の女子高で、地味な髪型、眼鏡をかけて、ガリ勉をしていた。



念願の一人暮らし、都会の大学入学を機に、コンタクトレンズと有名な美容院に行って変身を成し遂げた。



ファッション雑誌でお洒落の研究をしたし、どこから見ても、普通の女子大生だよね?



必要以上に目立ってないよね?




早足で歩くあたしの前に、その時、サッと人が立ちはだかる。



「ねぇ、君、サークルとか興味ない?」




艶やかな声。




長身でスタイル良くて、黒くてさらさらした、お洒落な髪型。



涼し気で整った顔立ち。




うっ、イケメンさんだ……。




「いえっ、はいりませんっ」




緊張し過ぎて耐えられずに、彼から逃げる。




『あっ、行ったな零斗』




『やっぱり振られるかっ』




なんだか回りが騒がしい。




バンッ。




彼が傍の壁に手を伸ばして、あたしの行き先が塞がった。




身を屈めて彼があたしをじっと見つめていた。




いわゆる、壁ドンてやつ……?




何か、怒ってる?




綺麗な真っ直ぐな瞳をじっと見つめる。




ふっと笑う彼にドキドキした。

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