けだもの系王子
第11章 零斗、チャラ男系?
夏休みに入ってこのお店は相変わらず、忙しい。
はっきり言ってハードだ。
夏休みの間のシフトもめいいっぱい入っている。
実家の両親に負担かけたくはないし、でも大丈夫かなあたし?
ショーケースの中にあるケーキを、うっとりと見つめる。
少しピークは過ぎて、シフト表を見ていた。
「葉月ちゃん、気が付いたらいつもここのケーキ見ているね、そんなに好きなの?」
幸人さんが新しいケーキを持って来て、ショーケースにいれている。
「もちろんです、それにケーキがあまりにも綺麗で、どうやったら出来るのか、考えちゃって見惚れてしまうんです」
「作っている人間からして、嬉しい言葉だね?今度ホールが落ち着いた時にでも教えるよ?」
「ありがとうございますっ」
嬉しくて頭を下げてお礼を言う、あたしの顔をじっと見つめる幸人さんと、目があった。
ふいと視線を反らされた。
「夏休み、シフト大丈夫そう?なんか店長がブラックっぽく、組んでいるけど」
「なんとか頑張りますっ」
「今度夜にちょっと遠出して、バーベキューと花火をするからね、バイトの子達へのご褒美だから、ぜひ参加してね?」
「すごい楽しそうっ、もちろんですっ」
「……葉月、さぼってないで、あそこの席片付けてくれ」
零斗さんが、トレーに沢山グラスを乗せて、あたしの脇を忙しそうに通って行く。
咎めるような、視線が冷たく光る。
「ごめんなさいっ」
慌てて片付けに向かった。
その日もあたしのアパートに、零斗さんが訪れた。