けだもの系王子
第11章 零斗、チャラ男系?
同じ大学でバイトも一緒の友達と、一緒に歩く。
今日は18時までの営業で、海でバーベキューするらしい。
オーナーの別荘があるから、泊まり込みだ。
まずは店に集合して、何台か車をだしてもらうみたい。
荷物を持って、カナちゃんと一緒に歩く。
「水着持った?どんな水着?」
「えっとねぇ……」
水着のデザインを説明してたら、カナちゃんがあたしをじっと見ている事に気付いた。
「ねぇ、葉月……あの噂……あたしは信じてないからね?」
「……?噂……?」
首を傾げてしまう。
「あんたが遊んでるって話、だってこれまであんたと付き合ったら分かるもん、あんたがそんな事できる子じゃないって」
「どんな、噂なの?遊んでるって?」
零斗さんの姿が一瞬よぎる。
「だから、あんたが男遊びをしてるって、セフレもいっぱいいるって……?」
セフレは……。
零斗さんの事だ。
他には誰もいない。
あたしははじめてだったのに。
どうしてそんな噂が?
青ざめて黙り込むあたしを見て、カナちゃんが励ますように背中を叩く。
「あたしらはそんな噂信じてないから、大丈夫だよ?」
「……その噂……大学では広まってるの?……皆知ってるの?」
『俺、セフレしかつくらないけど、いいよな?』
『俺を誘ってんの?』
『俺だけ、見ていろ……っ』
零斗さんが言っていた、言葉。
そうか。
最初から、あたしは、零斗さんにとっては遊びのつもりで。
ただのセフレだから。
最初からそうだし、これからもそうだ。
分かっていた事なのに。
どうしてこんなにも、ショックなんだろう。