けだもの系王子
第6章 要、優等生系?
お菓子の箱を持ってさっさと家に入ろうとする。
その冷たい態度に胸が傷む。
「違うの聖ちゃんは連れ混んだんじゃなくて勝手に入って来たのっ」
あたしを拒絶しているような冷たい後ろ姿に言い訳みたいに言う。
先輩の足がぴたりと止まる。
「……君達はそういう関係だったんじゃないの?」
「……でもあたしにとって聖ちゃんはキョウダイみたいなもので……
あたしは他に好きな人が……」
上手く言えない……。
もどかしくて口をパクパクさせてしまう。
「昔もそんな事を言っていたけど……
俺には関係ない。
君達が痴話喧嘩しようが単なるセフレだろうが、静かに生活できればそれでいい。
くれぐれも俺の生活の邪魔をしないでくれ」
「……………っ!」
冷たく扉が閉められる。
何も言えない。
すべてが言い訳みたいになっちゃう。
あたし……馬鹿だ。
昔告白されたからと言って、今もあたしを好きな分けないのに。
期待してしまった。
近付く事が出来ると思ってしまった。
もっと近付きたいのに……。
聖ちゃんとの関係を知られてしまった……。
汚ないものでも見る目を思いだして、悲しくなる。
あたしの好きな人は、斉藤先輩なのに……。
これじゃあ完全に嫌われてしまった……。
大学の食堂で直ちゃんと一緒に昼御飯を食べていた。
斉藤先輩がふらりと入ってくる。
相変わらず一人。
回りの女の子が先輩をちらちら見てるのに気付かない様子でマイペース。
一瞬だけ視線が絡まる。
息を呑んでしまう。
だけどそれだけで何事もなかったように離れた場所に座る。
何も変わらない。
今までと。
ちくちく胸が痛むだけ……。