けだもの系王子
第6章 要、優等生系?
要Said
「お前優等生のクセにいきなりぶっ飛んでるな?」
おしゃれなパブ。
俺のバイト先だ。
昼間はいい天気だったのに、夕方からずっと雨が振り続く。
そのせいなのか暇で客が来ない。
高校の時からの親友、樹が呆れたような視線を俺に送る。
「しかも藤谷ちゃんとっ、ずっと片想いしてた奴が、いきなり同棲?
しかもセフレ状態?」
「セフレじゃない……」
「毎日やって外でもやらかせば鬼畜だろ?
信じらんねぇ、お前最低っ
藤谷ちゃん可愛そうっ、俺が慰めようかな?」
「ふざけるなよ?」
「何でそうなるかな?
別な奴が好きだと思ってんの?」
俺はグラスを磨きながら溜め息をつく。
「工藤が嫌で別に好きな奴がいるって言ってたんだ。
工藤も好きな奴がいるって知ってるみたいだった」
「工藤ねえ……
あの可愛い弱そうなガキがストーカーか?
あのガキもいろいろ噂あったから腹黒くもなるか?」
「噂?
知らない?
藤谷を無理矢理襲ったって噂?」
「いや、中学の時。
女の子みたいで可愛いから男の先輩に襲われたとか女子の先輩に襲われたとか?
学校来なくなっただろ?」
「ああ、ほとんど来てなかった」
「そんな奴に依存されてたら大変だな?」
「俺だって依存してる。
顔を見たら、ダメなんだ」
「俺の勘だけど。
藤谷ちゃんは昔からお前の事好きだと思うぞ。
だってお前の事ずっと見てたから」
「お前いい奴だな?」
「信じろよ。
口下手やめてもっとちゃんと話をしろよ?
好きだってちゃんと言ってんの?」
「……昔言っただけ……」
「……だからすっ飛ばし過ぎだって!
お前最低っ!」
ぎゃあぎゃあ喚く樹の前で考え混む。
こんこんと説教されながら考えていた。
好きだと言ってない……。
今更、分かるだろ?
言わなきゃいけないものなのか?
ポケットの中でチャリンと鳴る鍵の音。
不動産に連絡してドアの鍵を替えてもらった。