
私の心の1番綺麗なところに
第23章 傷
え…めんどくさいなぁ。
でも、鍵がないと困るだろうし。
そう思い、自転車から降り、
携帯の懐中電灯機能を使い
明かりにした。
その川は、細い道沿いに流れていて
なかなかの流れだった。
「どこにあるんですか?」
「うーん、よく見えないから
その携帯、僕が持ってもいい?」
そう言って、男は私の右手に持っていた
携帯を取ろうとした。
見ず知らずの人に携帯を触られるのは
気持ち悪い。
「いえ、私が持っておきます。」
と振り切った。
そうしたら男は
「もう少し奥かも」と言った。
奥の道は街灯ひとつない
田んぼだけが広がっている。
あまり入りたくなくて
数歩だけ進んで再び携帯で川を照らした。
チラリと男を見る。
年齢は…よくわからないけど
30後半から40なかばくらいかな?
