
私の心の1番綺麗なところに
第23章 傷
照らしていると男がまた
「その携帯僕に持たせて。」
と言って私から取り上げようとしたから
「いえ、私が。」
と返して携帯を守った。
そうすると男は
「まだ奥かも。」と
言ってきたから
私もまた数歩、細い道に入った。
それをまた一度繰り返した。
いい加減面倒になった。
「川の流れが速いから
もう流されてるんじゃないですか?」
「困るなあ…犬の散歩の途中で
落としてしまってね。」
犬…?
いま、ここに
犬は、いない…
「犬はどうしたんですか?」
「いや、えっと
鍵を探すのに時間がかかりそう
だから一旦帰って、犬は家に
置いてきたんだよ。」
一旦家に帰って
犬を置いて、戻ってきた…
そしてこの川の流れ…
そんなことしているうちに
鍵は流れているに違いない。
やっと、ここで
私の中で危険信号が鳴った。
