
私の心の1番綺麗なところに
第23章 傷
男の唇が
私の上唇を挟んで
左胸を揉んでいる…
気持ち悪い
気持ち悪い
気持ち悪い!!!
唇が離れて
逃げようとしたけれど
男は私の左手首を掴み
顔を近づけてきた。
「や、やだ…っ」
「おとなしくしろ。
でないと殴るぞ。」
そう言って男は
拳を握り上へ振り上げた。
振り上げたけど
これはきっと私を脅しているだけ。
それを察した私は
「優貴!たすけて!優貴!!」
と、叫んだ。
男は私が優貴の名前を叫んだので
近くに優貴がいると思ったのか
慌てた様子で、
「もう行け!」
と言った。
自転車を持って、男に背を向け
国道の方に向かおうとすると
男が後ろから
「最後にもう1回…」
と私を追ってきた。
やめてやめて。
無心で走った。
自転車に乗る時間があれば
男は私に追いついてしまう。
走って、国道に出て
振り返ったけれど
男の姿は暗くて
よく見えなかった…
国道に戻り
頭が混乱したなかで
自分が何をされたか
さっきの出来事は何なのか
整理したくてもできなくて。
私は、
SNSに
「襲われそうになった、」
とだけ書き込んだ。
