私の心の1番綺麗なところに
第27章 酔いのまま宵になる
タクシーに乗って
川上さんが、
「○○山の山頂まで。」
と言うと、
タクシーの運転手が
「今からだと上までは乗せていける
けどその後自分も他のタクシーも
また新しいお客さんを乗せなきゃ
いけないから帰りは難しいかも
しれないよ。」
と、言った。
「いい?」
と、川上さんが私を見て言った。
「大丈夫です。」
山まで向かうタクシーの中
私は、少しの期待を
抱かずにはいられなかった。
夜景に誘ってくれたということは、
少しでも、私のこと、
意識してくれてるのかな…?
タクシーは山道を右に曲がったり
左に曲がったり
なかなか大きく曲がった。
タクシーが曲がるたびに
後部座席に並んで座っていた
私と、川上さんの体が
遠心力で近くなる。
私が川上の方に
近くなる方向に曲がったとき、
酔った勢いもあって
彼の肩に頭を乗せた。
これで何もなければ
それはそれでいい。
すると、川上さんは
私の肩を抱き寄せて、
そのまま私の肩に手をまわした。
嬉しかった。
ドキドキした。
でも、
この人はどんな気持ちで
私に接しているのだろう。
私のこと好きじゃない
はずなのに…
と、いうことも
考えてしまった。