私の心の1番綺麗なところに
第29章 曇り心
川上さんは就職先も地元だったから、
就職してからも月に2回のペースで会えた。
川上さんは安定のお酒好きで
よく仕事終わりに連絡がきて
「今から飲みに行こう。」と
誘われることもよくあった。
時間はいつも23時頃。
仕事して、仲間と飲んで、
私に連絡がくる。
会えるのは、嬉しいし、
忙しい中会ってくれてる優しさにも
気づいていないわけじゃない。
でも、深夜にいきなり呼び出されるのは
少しキツかったのも事実だ。
特に次の日の大学が1限目からのときや
朝からバイトが入っている日。
断れば良いんだろうけど
誘ってもらえる嬉しさもあって、
断ることはできなかった。
社会人だから大変だろう、と
私から連絡するのは控えていたから。
忙しいときに連絡して
イライラさせたくない。
気を使ってるつもりで送ったメールなのに
怒らせてまた無言で着信拒否されたくない。
そう思うと、会いたいなあと思っても
会いたい、と言えなかった。