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私の心の1番綺麗なところに

第29章 曇り心




めちゃくちゃに壊したけれど、


スッキリした、とはほぼ遠かった。





むしろ、鉛のように
心が重くなる。








もう何も考えたくない。




もうどうでもいい。


















破片だけ集めて、ゴミ箱に捨て、


ベッドに入った。

































インターホンの音で目が覚めた。




時計を見たら、朝の6時。






誰かはもう、わかってる。









ドアを開けると、彼が立っていた。






「ごめんな。昨日すごく酔ってて
電車乗ったけど寝過ごして
ふた駅先のところで降りたんだ。
歩いて行くつもりが気づいたら
道で倒れて寝ててさ。
なんとか明け方に起きれたから
よかったけどもう少し寝てたら
人に見られるところだった。

心配かけて、ごめんな…」





「いいよ。無事でよかった。」










この時の私に、


彼に対する怒りもなければ


無事で良かった、という
優しい気持ちもなかった。









彼が私に怒って来なかったわけじゃない。
私のせいじゃなかった。




その安堵感だけだった。






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