私の心の1番綺麗なところに
第31章 雪の東京
隆太。
あなたとの待ち合わせ場所に使い、
あなたといつもバイバイした
あの駅、あの改札に、
私は通勤のために毎日通るように
なりました。
あれから、もう、7年。
その駅は、変わっていない。
私があなたを待つあいだ
もたれていた柱もそこにある。
あなたと一緒に
ホテルへ向かうために昇り
別れるために降りた
エスカレーターも、
駅だけじゃなく、
周りの景観も。
何も、変わっていない。
モノは変わらないけれど、
人や、心は変わってしまう…
柱だって、景観だって、
もちろん心なんかないけれど、
いろんな人を、見てきたんだろうなぁ。
もしかすると、私のように
この駅に、この改札に、この柱に
甘くて切なくて懐かしい想いを
抱く人がいるかもしれない。
それを知っているのは、
柱や景観たちだけ。