私の心の1番綺麗なところに
第31章 雪の東京
哀しいことに
私も、毎日通勤に使うためか、
この改札に、慣れてしまって。
毎日感傷に浸ることはなくなった。
大学生の時は、
ここに来るのが怖くて、
あなたを思い出すのが怖くて、
何年も行けなかったのに。
行くのに、すごく勇気を
振り絞ったのに。
当たり前のように
通り過ぎてしまっている。
やっと、辛くて泣きたくて
胸が苦しくならないことに
喜ぶべきなのか、
愛おしさと懐かさで
胸が苦しくならないことに
哀しむべきなのか、
わからない。
そう思うと、
切なくなって。
あれから、少しだけ大人になった
私を見てほしいと、
願ってしまう。