
私の心の1番綺麗なところに
第31章 雪の東京
改札を出ると、雪が積もっていた。
待ち合わせ場所として
有名なハチ公の銅像も、
雪をかぶっていて寒そうだ。
隆太の働く会社が入っている高層ビルは
地下2階から地上10階までが
ショッピングや映画やグルメが
楽しめる施設になっていて、
11階から20階がオフィスになっている。
隆太の働く会社は15階。
なんて高いビル。
なんて都会。
隆太は、この、
都会の一部として
働いて、生きている…
私とは違う…
ビルに着いた。
当たり前だけど、隆太の姿は見えない。
もし通っていたとしても
雪のせいでみんな傘をさしているから
わからない。
けれど、隆太はここにいる。
きっとこの道を通っている。
きっとこの景色を見ているはず。
やっと、やっと…
隆太が見ているものを
見ることができた。
同じものを見ることができた。
隆太の住む世界を
少しでも知ることができた。
そして、隆太は
もう、手の届かないところに
いってしまったことも、知った…
