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私の心の1番綺麗なところに

第31章 雪の東京




ビルの1階にあるカフェに入った。



窓側にカウンター席が並んでいて
外を通る人たちを見ることができる。


数席空いていたから
先に席を取って、
カフェオレを注文し、
席に戻った。





人が途絶えることなく
目の前を歩いていく。




どこに向かっているのだろう。

誰の元へ向かっているのだろう。











カバンの中から
スケジュール帳とペンを取り出し、
スケジュール帳の最後あたりの
メモのページを開く。







隆太に宛てた手紙。




届くはずのない手紙。




届かないからこそ、
便箋にではなく、
別のものに残しておきたかった。






ここにきた記憶を

その時の私の気持ちを



何年経っても、
忘れないように。







あなた宛の手紙。



私しか読まない手紙。




誰も読まないもの。



私の記憶。




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