私の心の1番綺麗なところに
第34章 虚意(コイ)
夕陽を見ると、
ふとあなたを思い出すときがある。
夕陽独特の切なさが
あなたへ抱く気持ちの切なさと
リンクするかのように。
決してあなたと
夕陽を見た思い出なんてないのに。
夕陽について語ったこともないのに。
ふと見上げた空が
蒼い空の中に、ほんのり紅いと
ギュッと心が切なくなって、
何気ないあなたの表情や、声や、
そんな1ページ、1行分のあなたを
思い出して。
思い出にない、私の想像の中のあなたが
私に話しかけてくる。
だけどそれは
哀しい、空想。
その笑顔も、声も…
元気にしていますか?
いまどこにいますか?
空想のあなたに呼びかけても
返事は、ない。
もしこんな私をあなたが見たら…
なんて言うのかなぁ。
それは空想の世界でもわからない。
ただ、懐かしい、
あのときの笑顔だけ
私に向けられる。