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私の心の1番綺麗なところに

第34章 虚意(コイ)



きっと簡単なことなんだ。


あなたとの記憶を忘れることなんて。


あなたを知らなかった日々に戻るなんて。

ほんの少し前に戻るだけなのだから。

あの頃の私は1人でそれなりに
平穏にいたのだから。




平穏な日々が還ってきただけだと
思えば良いのだから…





それに何の不満がある?



何の寂しさがある?









むしろ喜ぶべきなのに。






心乱されることない、

平穏な日々が戻ってくるのだから。





彼を失っても


得たものは私が欲していたものなのに
























何かが違う。


















あなたを知る前と知った後じゃ




何かが違う。














だって、求めていた平穏な日々を
得たのに



こんなに寂しくて、虚しい。




あなたを知らなければ
知らなかった感情。













私は、あなたといる平穏な日々を
つくりたかった。過ごしたかった。



あなたがいない今、



ひとりでいることは、




平穏でも何でもなく、





ただ、ただ、…








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