豹変
第1章 ワンコ系が豹変
両親同士が仲良く子供の頃からしょっ中一緒にいて遊んだり、お互いの家へ泊まったりしていた夕紀と翔太は、幼馴染といえばそうなるが、どちらかといえば腐れ縁のようなもの。
25歳の夕紀が姉で、24歳の翔太が弟のような兄弟的な感覚も夕紀にはあり、一カ月前から実家を出たいという翔太に部屋を貸していた。
といっても、気に入る部屋がないという理由で殆ど翔太が強引に転がり来んできた状態。
……翔太だしまあ良いか、と夕紀も楽に考えていた。
まさか翔太から押し倒されるなんて。
突然のこの状況が夕紀には理解不能で、呆然としながら尋ねる。
「な、にしてるの? 翔太……」
いつものように仕事を終え帰宅し、ソファに座り晩酌していた最中。
そのせいで夕紀の頬はほんのり赤らみ、体温も熱く、両瞳は潤んでいた。
そんな夕紀を悪びれもなくニコッと微笑むと、翔太は答えた。
「夕紀さんを襲ってます」