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暗闇の中の一等星

第5章 いつかの涙は笑顔に繋がる―母親の記憶リメイク―

 また、父が風邪を引いている時、父に電話をかけた。

「もしもし」

「外、玄関見て」

 母はそう言って電話を切り、父が玄関を見るとお見舞いに花束が置いてあって、父は母のそんなところも可愛いと思ったらしい。

 そうして、一年くらいしてから、妊娠が発覚し、二人は結婚。私が産まれた。順番は違ったけれど、望まれて産まれた。愛された。私は昔の思い出をよく聞かされる。カーテンの裏でトイレしていたとか、トイレに行って、そのまま扉の目の前でお尻を出して寝ていただとか、離乳食は嫌がって食べなかっただとか……。

 小学六年生の時は一番荒れていた。いじめられて、腹が立って、最低なことをした。イタズラ電話をかけたり、死ねとかブスとかイタズラ手紙も書いた。

 それが先生に知られて、家に来て、あの時の母の泣き顔、普段見せない父の怒る姿。きっと忘れないし、忘れちゃいけないんだと思う。

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